下記は、2005年7月28日の京都新聞に掲載された記事です。
2005年(平成17年)7月28日(木) 京都新聞掲載
余剰汚泥を分解消滅 洛西浄化センター 産学連携 新システム研究
下水処理場などで大量に発生する余剰汚泥を分解消滅させるシステムの研究開発を、京都大大学院の今中忠行教授(生物工学)らと京都市西京区の環境システム開発企業「鈴木産業」が産学連携で進めている。産業廃棄物として処分していた余剰汚泥を大幅に削減でき、処理時の環境負荷や費用の軽減効果が期待できるという。今年3月から6月まで、長岡京市勝竜寺の京都府洛西浄化センターにテスト機を導入、データをもとに経済産業省などに補助金申請をしており、実用化に向けた本格機の開発を目指している。下水処理場では沈殿池でごみや泥を取り除き、微生物が含まれた活性汚泥を加えて水を浄化し、上澄みを消毒して河川に放流している。この際、取り除かれた泥や不要な活性汚泥が余剰汚泥となり、脱水後、焼却される。同センターでは2004年度、968トンの焼却灰が発生、うち約4割をレンガなどに有効利用したが、残りは産業廃棄物として処分した。
開発中の新システムは、余剰汚泥を構成する細菌や原生動物などの生物細胞を細胞壁分解酵素で効率的に可溶化、圧力差を利用した高圧流体粉砕処理装置で細胞を破砕し、分解消滅させる。
同センターで実施した3カ月間の実用実験では、1日1・5トンの汚泥を微量の無機質のものを除き、ほぼすべて水と炭酸ガスに分解できた。このため経産省などに補助金交付を申請、認められ次第、同センターで日量15トンの汚泥処理ができるシステムの実用実験を行う。
下水・排水処理による余剰汚泥は産業廃棄物全体の約半分を占めるともいわれており、今中教授は「身近で切実な問題なのに、一番技術開発が遅れていた。今回の実験ではほぼ100%分解処理できることが確認できた。有効な技術として、是非実用化につなげるべき」と話している。